第78章

白井侑里を見送り、稲垣栄作は二階の主寝室に戻った。

彼は高橋遥を呼んで一緒に食事をしようと思った。二人がきちんと食事を共にしてからずいぶん経つ。これからは彼女としっかり向き合って暮らしたいと思っていた。

寝室のドアを開けると、彼が贈ったプレゼントの数々が部屋の隅に無造作に積まれていた。まるで彼の気持ちが捨てられたかのようだった。稲垣栄作には分かっていた。高橋遥は意図的にそうしているのだと。かつて彼が彼女にしたことを、今度は彼女が彼にしているのだ。

やられたらやり返す、それだけのこと!

ウォークインクローゼットから、小さな物音が聞こえてきた。荷物をまとめる音のようだ。

稲垣栄作は足早...

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